家族・会社に言うぞといって脅迫された場合の対応
こんにちは、佐藤大蔵です。
今日は、不都合な事実を家族・会社に言うぞといってお金を請求してくる相手への対応について話したいと思います。
こちらが提示してくる金銭を払ってくれないと、会社や家族に言うぞという対応
事案の中で、一つパターンとしてあるのが、
こちらの請求をしている金額を払ってくれない場合には、会社、家族に事実を伝えるぞと
言ってくるパターンです。
例えば、
既婚者の女性と不貞関係にあった相手方に対してこちらの請求をする金額を払わないと、勤務先の会社に言うぞというケース
不貞があったことについて、家族に伝えられたなかったら、このお金を払ってほしいという
わいせつな画像をバラまかれたくなかったら、お金を払え
といったケースなどです。
まず前提として、
弁護士としての経験則上、このようなことを言ってくる相手方に対して、
相手方の要求通り金銭の支払いをするのは絶対に好ましくありません。
犯罪行為に当たる可能性が高い
そもそも、このような行為は、脅迫・強要・恐喝罪といった犯罪行為に当たる可能性の高い行動です。
脅迫罪・・・・生命、身体、自由、名誉または財産に対して害を加える旨を告知して脅迫した場合
強要罪・・・・脅迫又は暴行により、人に義務のないことを行なわせたり、権利の行使を妨害したりした場合
恐喝罪・・・・人に害悪の告知をし、財物を交付させた場合
にそれぞれ成立します。
あなたのことを殺します
というのは、身体に対する害悪の告知で、脅迫罪です。
お金を払わないと殺します
というのは、身体に対する害悪の告知で金銭という財物を交付させているため、恐喝罪です。
脅迫罪は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
恐喝罪は、10年以下の懲役となります。
ここで、例えば身体へ危害を加えるぞなどというのは、暴力団などが良く使う手口ではありますが、
例えば会社に言うぞ、というのは本人の名誉にかかわる事実ですので、
名誉に関する告知として、これも脅迫、恐喝が成立する可能性があります。
仮に相手方の要求に応じた場合のリスク
つまり少し説明が長くなりましたが、
会社に言うぞと伝えて金銭の交付を求める行為は犯罪行為に当たる可能性が高いということです。
このような相手方に応じて支払いをしてしまうと、
その後また情報を伝えられたくなかったら、お金を払えなど、どんどん要求が止まらず、対応を求められるなどの可能性が出てきます。
金銭賠償の原則というルール
そもそも会社に言うなどという行為は、法律上認められている行為ではないのです。
基本的に賠償を求めたりするケースでは、法律上は、金銭による賠償の原則と定められているます。(民法417条・722条)
嫌がらせのように情報を人質に金銭を請求するというのは、ルールを無視した法律に反する行為で、決して認められるべきものではありません。
ではどのような対応をするべきか
ただ、当事者としては不都合な情報を伝えられたどうしようと、心配になってしまう気持ち、不安になることは当然あるでしょう。
そこで、どのように対応するべきかが問題となります。
これに対しては、会社に言うぞなどという発言や要求を相手方がしているのであれば、まずはこれをきちんと記録化しましょう。
発言については動画、音声録画をとる、
メールがあるのであれば、きちんと残しておくということです。
そのうえで、相手方に対してはこのように伝えていくことが適切です。
「今のあなたの発言は、脅迫、恐喝にあたります。刑事上の犯罪にあたります。
情報を暴露するのであれば、名誉棄損の罪にあたります。
そのため記録化させてもらいます。」
といった具合です。
こういった発言を伝えると相手方も、犯罪行為とされたくはないと考えますから、
実際に迷惑行為をしてくる可能性というのは一気に下がります。
そのうえで、相手が迷惑行為を続けてくるのであれば、
弁護士に相談の上、刑事告訴などを検討することになるかと思います。
注意点としては一度支払いに応じてしまうといいように金銭をむしり取られる対象となってしまいます。
こういったことに応じて、結果良い形で落ち着くということは基本的にありませんので、
違法な手段をとる相手に、応じるべきではありません。
裁判所の調停や裁判を利用して解決する
そのうえで、こちらも法的な責任として支払わないといけないというケースももちろんあると思いますので、適正な金額の範囲で、協議や調停、裁判などで解決の上、
金銭を支払って終了することができれば、一番良い終わり方ではないかと思います。
相手方の請求する金額があまりにも高額である場合
この場合は、相手方に裁判所で請求をしてもらって、必要であると判断されたものについて払うなど筋を通した解決を図る方がコストも安いし、精神的なストレスもなく 圧倒的におすすめです。
裁判を通じて判断してもらったほうがこちらも、納得できる形での判断となりますから、どうしても協議で金額を決められないときには、法的な手続きを使っていく方がストレスもなく、早く解決できると思います。
佐藤大蔵