司法試験で文字を早く書く方法
司法試験で文字が汚い、どうしても早くかけないという悩みを持っている人に対して、
どのように司法試験の論文式試験をクリアするか
その方法を伝えたいと思います。
こんにちは、佐藤大蔵です。
今日は司法試験の文字を早く書く方法について悩みを持っている方に限定して記事を投稿したいと思います。
司法試験で文字が早くかけなくて苦しんでいる人へ
司法試験で文字を早く書くことについて悩んでいる方多いと思います。
私は文字を早く書かないといけないというプレッシャーで大変つらい思いをしました。
自分周りの友人を見ていても、実際文字を早く、読める字で書くことができないという人は少数ですが何人かいたことを覚えています。
ですが、大多数の人はあまり気にしていなかったりして、悩みをどのように克服するのが良いのか大変悩んでいました。
正直字で悩んでしまった自分にとっては、字を早く書くこと、きれいにかけることは大変な才能だと感じています。笑
字のことを気にしていると、肝心の文章に集中できなくなり、そうなると日本語がわかりずらい文章になってしまい、本末転倒です。
そして、字が汚いのに、日本語がわかりずらいと、最高に読みずらい論文になってしまうというデメリットがあります。これでは大きく損してしまいます。
字を書くことに変に意識がに集中してしまうと、一文が長くなってしまったり、主語述語が消えてしまったり、修飾語が変な位置に置かれてしまったりして、読みずらい文章になってしまうのです。
ではどのように対応するべきなのか、お伝えいたします。
まず、私の司法試験に関する簡単な自己紹介ですが、
司法試験は1回受験で合格することができました。順位は合格者2000人程度でちょうど800番程度だったと思います。
しかし、論文式の字が汚くなり、かつ遅いということで、字を書くのがストレスになって、予備校の添削では「文字が見えなくて採点できない」とコメントが書かれ、大学院の期末試験でも字が震えて点数がつかなくなるなど散々な思いをしました。
字に対するストレスはすさまじく、字が早く書ける友達に何度も相談をしたり、字の書き方教室や、ペンの持ち方の研究、万年筆購入、写経をたくさんしてみたりなどとにかくたくさん方法を考えました。笑
受験生全体でみると司法試験で字で悩む人は結構いるのかなと感じているため、今日はその人たちに向けて記事を書きたいと思います。
悩める人の一助になれれば嬉しいです。
司法試験体験のときのエピソードは関連記事をみてください。
大前提・・・答案は人にみていただくもの
まず、これは基本中の基本、司法試験は論文式試験は人に読んでもらうことが前提なので、あくまでも読める文章を書かなければならないということです。
人に見てもらうことを想定しないで書くというのは自分勝手に言いたいことを言っているということとなってしまいます。
読んでもらう、読んでいただくという気持ちで論文を書かないといけないのです。
そのためには、読める程度の文字で、わかりやすい日本語で書くというのは重要です。
めちゃくちゃきれいな字を書ける人もいますが、きれいに書けるかは重要ではありません、(きれいでわかりやすくて、大きく間違っている論文はかえってミスが目立ってしまうという点もあります)
あくまでもスピードを重視してよいのですが、読める字というのは大切な要素です。
また、日本語のわかりやすさは字を読める読めないよりは上のレベルの話になりますが、わかりやすい日本語というのは合格者に近づくためには重要です。
ですので、読める字で、わかりやすい日本語を両立して書ける必要があります。
字の汚い人、書くのが遅い人が司法試験に合格する方法
自分にあったペンを選ぶ
まず、自分にあうペンを選ぶことです。
これは定番ですが自分にあったペンをきちんと選ぶことです。
ジェットストリーム、サラサなどを選ぶ人が多いと思いますがその人の好みによります。
自分のペンの持ち方や筆圧にあった書きやすいペンというのがそれぞれあると思います。
ちなみに私は、三菱鉛筆 油性ボールペン ジェットストリームアルファゲル 0.7
のペンに、中の芯をサラサ0.7の芯を入れて使っていました。
また、
筆圧が濃いということで、三菱鉛筆 水性サインペン ピュアカラー PURE COLOR 太字+細字 PW-100T PC 黒
の水性ペンを利用していました。
司法試験では黒、青のボールペンとされています。
この水性ペンは、ボールペンと言えるのかという点は少し気になっていましたが、私の試験の時には問題なく利用することができました。このペンは当時の私の書き方では書きやすかったので利用していました。
受験生の中には万年筆を利用する人も多いかと思います。私も万年筆は買って試してみたのですが、どうも書き方にあいませんでした。ですので万年筆も合う合わないは人それぞれです。
自分に合うペンをさがしてみてください。
司法試験では、上記の水性サインペンを利用し、その後の司法修習の二回試験では私はサラサを利用したと思います。
文字の書き方について
正直司法試験受験当時は、文字の書き方については、かなり研究しました。
字を書くのが早い人達と同じ持ち方書き方をすれば、自分も同じようにかけるのではと思ったからです。
字の書くの早い人はどのように書いているのか、実際に友人に聞いて、いろいろと試してみました。
けれども、いろいろと試してみても人の書き方を試してみても早くなることはありませんでした。
逆になれない書き方で肩が凝ってしまったり、かえって遅くなったりしてしまいました。
私は、筆圧が濃いタイプだったのであわなかったのかもしれませんが、ダメでした。
字が早く書けるために重要な要素の私のイメージは、
①腕の力を抜くこと
②次に書いているときにこれから文字を頭でイメージながら書くこと
③手首を使うというよりも肘、肩を始点にして書くこと(ただし肩肘に力を入れないですべるように)
④早く書かないというプレッシャーで書くことを意識するのではなく、書く内 容、日本語に集中して自然と内容に意識を持っていくこと
つまり、文字を書くことに集中するのではなく、書く内容に集中すること、ペンを持つ手に意識を向けるのではなく、無意識で書いていることが重要だと思います。
私たちが普段何気なく行う習慣は無意識で行っているはずです。
歩くとき、寝るとき、自転車をこぐとき、走るとき、歯磨きをするとき、
手や足の力の入れ方なんていちいち意識しないはずです。
しかし、司法試験は文字を書くことのノルマが大きいと思ってしまうため、書かないといけないという意識が強すぎて、力が入りすぎる人が多いと思います。
けれど学生時代に、字を書くことに集中していたという人はほとんどいないはずです。
そのときのように無意識で書ける状態が力が入らずベストであると思っています。この話はさらに二回試験の話で後述します。
文章の内容について
試験合格のためには文字数の多さは関係ない
ここが一番重要ですが、
司法試験は8頁書く必要はありません。5頁でうかるし、4頁でも受かります。2,3頁でもポイントを押さえていれば十分合格できます。
確かに情報が多い分触れられる論点やあてはめ要素などが増えるという点は、完璧な答案を目指すという意味では有利かもしれませんが。司法試験は完璧な答案を書ける人などいませんので、そこに軸足を持っていこうとする必要はないかと思います。
実際問題としてそこまで分量を書けないよということであれば、4、5頁を書ける答案の構成をすればいいのです。
分量で不合格にはなりませんのでそこは安心してください。
①分量が少なくても、論証を少なくして、論点の点数をまんべんなく拾う事、
②規範、あてはめをコンパクトにしてしまうこと、
③気になる特殊性については少し問題意識をわかってますよというアピール程度に触れる
という程度で十分合格できます。上記であれば3,4頁で平均点を大きく超えられると思います。
短いコンパクトな答案で上位合格している人もたくさんいます。
なお、司法試験受験時は、再現答案のすごい答案をとても丁寧に研究しましたが、あの再現答案は、試験後に時間がたったあとに書いたものです。正直どこまで正確なのかは疑ってかかったほうが良いと思います。
文章がすさまじく長い答案もありますが、実際はあれほど丁寧に本番はかけていないものだと思って大丈夫です。
きれいな日本語でかくこと
きれいな日本語が重要です、読みやすさ、文章をかく法律家の基本的素養であるといえるからです。
きれいな文章と言っても美しい文章である必要はありません。
誰もが頭に入りやすい文章という意味です。
主語、述語をきちんと明記して、修飾語を適切な場所におく
一文をコンパクトに短く。
接続詞をきちんと使う(たしかに、しかし)
などです。
基礎力・論文式試験のスキルをあげる
書ける文字数が少ないのであれば、論文式試験で高得点を取るためには、
方法は二つです。
第1の方法は、できるだけ答案構成をの時間を短くするということです。
書く時間を増やすことができれば、書ききれないでタイムアップする確率は確実に減ります。
そのために、問題精読から答案構成までの時間を減らすこと。
重要になるのが、論文問題を解くスキルです。
そのためには基礎力を上げて、法律問題を解くスキルを愚直にあげること。
第2の方法は、法的な基礎力を高め続けること。
そもそも基礎がなければ、論文式の点数はつきません。
基礎力がないというのは論外であるため、ただひたすら基礎力を上げてください。
文字を書けないことを言い訳にせずに、基礎力をつけることから逃げないでください。
何度もテキストを読む、論証を頭に入れて人に教える、説明できるようにしてください。
さらに、論文式の答案書くまでのステップ、思考方法を何度も答案構成の訓練をして、早く正確にできるように訓練してください。
これが一番重要になります。
文字が多く書ければ点数がなんてことはありません。
正確な知識があれば試験には合格できます。
ここで、私のエピソードを伝えさせてください。
私が論文式で早く文字を書けるように変わったきっかけについてです。
上記でお伝えしました水性ペンが私の強い書き方ではあっていたので、試験ではこれを利用することでなんとか司法試験合格を得ることができました。
答案は4から7枚程度の分量を書いていたのではないかと思います。
もっとも、司法試験が終わっても、司法修習後に二回試験があり、この試験では、一日10時から17時まで、最高で50頁程度の論文を書く必要があります。これを合計5日間行いました。
(2回試験の紙は、1行空けて書くなどのルールがあるため、司法試験の論文とは少し用紙がちがいます)
正直、この試験でも私は合格できるのか大変不安な思いでした。
ですが、司法修習の時間が楽しく、少し気が抜けたのか、あるとき実務修習中の起案で(実務修習地で各ターム1回ずつ二回試験の論文を書く機会があります。)、40頁ほどの論文をかくことができました。
この時は、このペースなら50頁くらいの論文もかけるのではと思いました。(もちろん分量は重要ではないのですが)
ボールペンを使って、普通にある程度の分量が書けるというのは、私にとって大きな自信になりました。
その後、2回試験の起案も無事合格し晴れて実務家になることができました。
最終的には50頁ほど枚数を書いた起案もありました。
さらに、文字のきれいさも以前の司法試験時代と比べてだいぶ見やすくなったと思います。
司法試験の時には象形文字のようになっていましたが、少しは形がはっきりした形でかけるようになっていました。
なぜ、自然と早く、きれいに書けるようになったのか。
それは、成功体験から緊張が抜けて、大丈夫なんだと思えて書けるようになったからだと思います。
結論的には、力を抜いて、安心して書くということが、早く書くために一番重要だったということです。
無意識で、書く内容に集中して、安心して書いていれば、文字のことなどあまり気にしなくなります。
そして、気にしないことで、より早くかけるようになって自然となってしまうという感覚です。
思いかえしてみえば、私は自分でとてもよくできたと思った論文式で、「読めません」と添削されてかえってきた答案をみて恐ろしく怖くなり、すごく神経に使うようになっていきました。
色々調べたりしてあがいているうちに、自然と緊張するようになっていく状況を自分で作っていたような気がします。
そうして、書くたびに力が入るようになり、最終的にはまともに書けないようになってしまいました。
修習期間に試験の事を忘れているうちに、
安心感が生まれ、緊張感が抜けたことから、結果として早くかけるようになり、それが自信になり、最後は文字を気にしなくなったという流れとなりました。
司法試験段階で、文字のきれいさ、早く書かないとというプレッシャーを持っている人は多いと思います。
文字を書いて書面を出すことなんてないのだから、パソコンで書ければよいのにと本気で思います。
けれども与えられたルールの中で勝負するしかありません。
あるTVで目の見えない竹下義樹弁護士が司法試験に打ち勝つドキュメントをみました。
全盲の方でも試験が受けられるように法務省に対応を求めた経緯、
決められた時間の中で全盲の状態で司法試験を受ける絶望的な経験など数々の困難があったそうです。
そんなハンデを抱えているかと比べれば、五体満足で試験を受けることができる人はそれだけで幸せなはずです。
文字の速さ、汚さで試験の合否は決まりませんので、安心してチャレンジしてほしいなと思います。
社会のルールなんて、公平に見えて、不公平、不公正なんてたくさんあります。
けれども嘆いていないで、その中でゴールをこじ開けてほしいなと感じています。
司法試験受験生の皆さん、ぜひ頑張ってください。
応援しています。
弁護士 佐藤 大蔵