吉本興業の一連の謝罪会見について感じたこと
吉本興業の一連の謝罪会見について感じたこと
こんにちは、弁護士の佐藤大蔵です。
今日は吉本の謝罪会見騒動について,個人的に感じたことを書きたいと思います。
宮迫さん、亮さんの会見を見ましたが、謝罪会見として素晴らしい会見だったと感じました。
人から見られることを職とする芸人さんらしい会見でした。
会見の中で、自分たちの悪かったことを全面的に認めた上で、一切人のせいにすることなく、真摯に自分の言葉で謝罪の言葉を表現していたなという印象を持ちました。
謝罪の仕方というのは非常に重要で、実際は本当に難しいものです。
私は弁護士として被害弁償や示談など、加害者の立場の代理人として被害者の方へ謝罪をする機会があります。そこで、謝罪の仕方などもかなり研究、勉強しました。
適切な謝罪の仕方という点でも、
謝罪会見してかえって失敗する社長や芸能人が多い中、今回は見事な謝罪対応だったと思います。
それと比べて、吉本興業の社長さんの謝罪会見は、事実関係についての言い訳や人のせいにして話をしている姿勢、形式的に用意した書面を見ながらの謝罪の言葉など、会見を見る側としては潔い内容といえないとみた人が多かったのではないかと思います。
何よりも「謝罪会見をすれば全員クビにしてやる」という発言は、
権力のある立場の人が、権力を利用して、下の立場の人に対して攻撃をするという
パワハラ以外のなにものでもありません。
一般的会社の社長は、謝罪会見などに慣れていないというのもありますが、事実の捉え方を会見内容からみていると、事柄の見方が一方的で、現場の声を聞かずに、権力に頼って経営した結果、不祥事を真似ているんだろうなという流れがよくわかるような、社長の会見が多い用に思います。
経営者の立場の社長は権力、権威のある立場であることから、どうしても権力を濫用的に用いて、制御がなければ独裁的なパワハラをしてしまう方向になびいてしまいます。
権力を持つと、人はその権力を自由に使えることに甘えてしまうという弱さがあります。
社長の他にも、医者や弁護士もそうだと思います。
医者や弁護士も専門家として権威がありますから、偉そうにしている人も多いですし、
つい自分たちの判断が一番正しいと思ってしまう、
人の判断を聞き入れないという人も多いといえます。
たしかに、社長、医師、弁護士は自分たちで責任のある判断、決断をしないといけない立場にあります。
そのため、その判断は大きな責任が伴い、時に非常にストレスフルです。
そして、自分の判断が誤っていないと信じ込まないと決断ができないという点はあります。
そうして、権力や権威ともあいまって、自分の判断は間違っていない、そう信じ込み、疑うことすらしなくなっていってしまいます。
より考え方は頑なに強固になってしまいます。
私も権威に甘えてしまいたくなるようなときがないではありません。
専門性がある、権威がある立場にある人こそ、
自分の器を広く、誠実な人間であるべき努力、自己研鑽をしないといけないのだと思います。
そのためには、自分の考え方が違うかもしれない、人の意見を聞いてみようという対応に周りの意見を尊重する姿勢が大切なのだと感じます。
吉本興業の会見をみて、ふとこんなことを感じました。
自分の考えが間違っているかもしれないという謙虚な姿勢で日々の仕事に向き合いたいと思っています。
弁護士 佐藤 大蔵