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裁判で真実が認められるか

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札幌の弁護士、パートナー型コンサルタントの佐藤大蔵です。前向きに頑張っていこうという中小企業の経営者を全力でサポートする活動をしています。

裁判で真実が認められるか

ということをテーマに、今日はお話したいと思います。

少し重いテーマになるかもしれません。

裁判で真実は認められるのか?

 

裁判で真実が認められるかとの問いに対しては、

認められることはあるが、認められないこともある。

ということが真実だと思います。

 

皆さん、私たち弁護士の元に相談に来る際には、「真実は~だから、私の主張を裁判所で認めてもらえるようにやってほしい。」

 

意気込んで相談をしてくださいます。

「自分は正しいことをしているから、正しいことは認められて当然だ」

 

「被害を受けているわけだから、全部損害を請求して回収したい」

 

自分の主張に応じない相手方に憤っている様子の方が当然います。

 

紛争は人と人の感情が対立するから起こるわけで、誰でも人とぶつかり合っていい気持ちになる人はいないですよね。

 

裁判でしっかりと真実を伝えて、認めてほしいと思いますよね。

 

民事訴訟の大原則のルール

 

しかし、裁判で真実が認められるかどうかは、ケースによるとしかいえません。

日本は法治国家ですから、法律のルールに基づいて、裁判は行われます。

裁判のルールを決めているのは、民事訴訟法です。

 

そして、裁判は当事者に争いがある事実については、証拠による主張立証が認められて初めて、裁判所がこちらの主張を事実であると認めてくれる

 

というルールになっています。(詳しい法律の解説はここでは省略します)

より正確にお伝えすると相手方が認めている事実については、証拠による立証がされる必要はないとされていますが、相手方が非を認めている事案はそもそも弁護士が入るような紛争になるケースも少なくなります。

 

つまり、両当事者相反する主張をする場合には、証拠基づいた主張が基本となってくる、

証拠がなければ、裁判では事実は認めてもらえないということです。

 

これが裁判を起こす人にとって大きな負担となるのです。

 

こちらの主張が真実であれば、真実であることを基礎づける証拠がいろんなところに残っているのか一般的です。

例えば、契約があって、それに基づいて金銭を請求しているのであれば、

契約書・申し込みをしたときのメール・納品書・金銭を請求しているときの請求書

残業時間が長い事の残業代請求であれば、

タイムカード・帰宅時の電車のICカードの利用履歴・帰宅時のラインのやりとり・ビデオカメラ・パソコンの通信履歴など

このような証拠があれば、それらの証拠を出して、十分こちらの主張が認められるといえるだけの状況であったとされれば、契約は認められますし、残業があったということは認められるでしょう。

 

もっとも、全てこちらの主張する事実について証拠があるかといえば、証拠がないケースもあります。

そもそも、一般の方は証拠を残さないといけないという意識はまだまだ知らない人も多いかと思います。

例えばドライブレコーダーのついていない自動車同士の交通事故、喧嘩の上で殴られたという当事者の傷害事件、証拠が見つからない不貞行為についての事件など、

証拠がないという場合もあります。

その場合には、正直裁判をやって認められるケースもあるかもしれませんが、

 

必ずしもこちらの思うように真実が認められるとはいえません。

証拠がなく、第三者で中立に判断しないといけない裁判官が、どちらが正しいか判断できないためです。

 

この話は納得がいかないという方はいると思いますが、

 

裁判のルールとは

 

裁判のルールとして、

 

・裁判はあくまでも第三者の裁判官が請求を認めるか判断するための、必要な事実の有無を判断するだけであって、真実を明らかにするための手続きではないこと。

 

・第三者の裁判官が判断する以上、証拠ないお互いの主張を容易に決めることができないということです。

 

例えば、両当事者が、互いに意見をぶつけ合っているだけのを聞いてもどちらが正しいかはわからないですよね。

裁判では場合によりものすごく大きな額の金銭の請求について判断されますが、裁判官もそれだけ、大きな責任をもって判断しなければいけない立場にあります。

そのため、生半可な、はっきりとしない互いの主張だけでは、どちらが正しいかは判断できないのです。

こちらの主張が認められないと請求している側が負ける

 

どちらの主張が正しいか判断できないという場合には、

請求する側が主張立証責任といって、証拠による説明責任をおっており、

請求している側の証拠がない場合には、請求者の請求が棄却されることになってしまいます。

 

裁判とはこのような法律で決まったルールの中で、進んでいきます。

弁護士が行うのは、裁判、法律のルールにあてはめて、こちらの主張が認められるように、手助けをすることです。

ですから、弁護士が魔法のように実力のある弁護士であれば、必ず裁判は勝てるとかそういったことはありません。

医者のように手術の腕などは、神の腕などといって、魔法のように扱われるかもしれませんが、弁護士は証拠がなければ戦うことはできません。

ですから、裁判で真実が認められるかという質問については、

結論

正確に言えば、

証拠があれば認められるし、場合により認められないこともある。

ということになります。

 

ですから、たとえ被害を受けたとしても、必ず取り返せるかどうかは、ケースによるという点があります。

証拠による立証の責任というのは請求をする側にあるというのが、時として当事者にとって大きな負担となってしまうということです。

 

そのため、トラブルにあって得をするということは絶対にありませんので、

トラブルには合わない方がいいのです。

 

どうすればトラブルを防止することができるか。

このブログでは、普段の私が法律トラブルを扱っていて、どうすればトラブルを予防することができるかという点について、発信していきたいと思っている理由です。

これからもトラブルの予防方法については積極的に伝えていきますね。

 

佐藤大蔵

 

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札幌の弁護士、パートナー型コンサルタントの佐藤大蔵です。前向きに頑張っていこうという中小企業の経営者を全力でサポートする活動をしています。

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